コラム AWAKES COLUMN

「完治」から考える社会問題

2018/08/28

こんにちは。
大阪は、心斎橋、本町、新町近く、西区は北堀江にあるパーソナルトレーニング・ファンクショナルトレーニング・コンディショニングジム、AWAKES (アウェイクス)の高嶋です。

先日、米国アスレティックトレーナーズ協会資格認定委員会(Board of Certification: BOC)公認のアスレティックトレーナ(ATC)である石井健太郎氏の「アスレティックリハビリテーションのすすめ」というセミナーに参加しました。

たくさんの興味深い専門的な知識や情報を勉強させて頂きました。
今回はほんの一部ですが、その中でも専門的というよりかは一般的に健康を包括的に考えさせられる興味深い話があり、私も前々から気になっていたことでもありますのでその内容についてご紹介します。

それは、「治る」という事について。
現代の医療では、「治る」という事が一つの基準点として治療やリハビリテーションが行われています。
「完治」したという基準をもって治療やリハビリが終了します。
では、この「完治」という定義は一体何なのでしょうか。

ある辞書によると、「完治」とは「完全治癒」の略式的な言い方だそうです。

「治癒」とは、
病気・ケガなどが治ること。(大辞林 第三版)
疾患や外傷に対する治療が成功した状態。(ブリタニカ国際大百科事典)

とあります。
では英語では、
完全治癒  (completely healed)
治癒  (Cure, heal)

“Cure” はラテン語の「curare」が語源で、「治療する」「世話をする」という意味だそうです。

“Heal” はギリシャ語の「holos」が語源で、「完全な姿(本来あるべき姿に戻る)」という意味があるそうです。

“Heal” に「th」を付けると、”Health” となり「健康」という意味になります。

アスレティックリハビリテーションにおいて、この「完治」というのは、本当にやっかいです。
完治の定義があまりにも難しいからです。

よくある事象で例えると、前十字靭帯断裂と再建後のリハビリ。
アスリート、すなわち、競技復帰を望んでいる選手において、完治とは一体なにか。

実は、「完治」と言っても、整形外科医や現状の日本の社会保障制度下での健康保険適用の範囲などが定義する「完治」と、
競技復帰を目的とした選手の定義する「完治」には大きなギャップがあるのではないかという事です。

一般的な医学において、前十字靭帯断裂再建術後の「完治」の基準は、
膝の可動域(曲がったり伸ばしたり)が健側(ケガをしていない膝)と同等
生活に支障の出ない状態(痛み、動作、筋力など)
生活に支障のない動作が可能。(歩いたり、座ったり、立ったり)
など。

しかし、競技復帰を望むアスリートにおいて「完治」とは、
怪我をする前の時のようにその競技が出来きる
なおかつ、パフォーマンスをしっかり発揮できる
そして、これからも継続的にパフォーマンスアップができる
こと。

現在の日本の医療において、アスリートに対するリハビリテーションは、前述したことから、様々な困難があります。

現在の日本の医療制度におけるリハビリテーションは、健康保険の適応が疾患によってあらかじめ決められており、
期間や内容が制限されていて、そのアスリートが本来、必要もしくはあるべき姿に戻るためのリハビリ行為が自由に行えない状態にあります。

例えば、運動器リハビリテーションの健康保険適応期間は150日と決められています。

科学的根拠に基づいた現代のスポーツ医学において、前十字靭帯断裂再建術からのスポーツへの競技復帰は9か月から12か月が必要と言われています。

という事は9か月として270日ですので150日の制限とすると、必要とされる期間が大幅に不足することになります。
まさしく、ここに現代医学と制度の大きな矛盾点が存在するのです。

私のアスレティックトレーナーとしての経験上、スポーツにもよりますが、サッカーやバスケットボールなど、急激な回旋動作やカッティング動作を伴う競技においては、パフォーマンスをフルに発揮できるようになる為には、12か月から場合によっては18か月かかることが多いです。

この様に、競技復帰に向けたアスレティックリハビリテーションにおける「完治」の定義は、一般的な「完治」の定義からは逸脱していることになり、保険適応の期間内では適切なリハビリが行えないのが日本の医療制度の現状です。

健康な社会づくり、スポーツ振興を国策として推進している日本において、現状は大きくそのビジョンとかけ離れています。

完治、すなわち、「本来あるべき姿に戻る」ということを今一度、再考する必要があるのかと思います。

人それぞれ、目的や目標は違います。

若い世代、スポーツを競技として、健康のために行っている人に適したリハビリテーションが提供できるよう、健康保険の適応について考え直す時期なのかもしれません。

また、日本の医療制度において、健康保険によるリハビリテーションを提供できるのは現状、理学療法士だけです。必ずしも全ての理学療法士がアスリートに適した運動器リハビリテーションを提供できるとは限りません。
理学療法士だけでなく、幅広くスポーツやトレーニングついて専門的な知識を持ったアスレティックトレーナーや各種トレーナー、コーチと呼ばれる人たちが、健康保険の適応内や新たな社会保障としての補助が受けられるような制度の中で、適切なサービスを提供できるような、そんな健康増進社会制度を作り上げていかなくてはいけない時代なのではないでしょうか。

「予防医学」、「健康増進社会」、「健康寿命拡大」、「スポーツ振興」、

あらゆる面で、今の日本の医療制度に改革の時が迫っているのは間違いありません。

「完治」という定義から、アスリート、スポーツ、健康、予防医学の観点から、今の日本の医療や健康に対する社会問題が浮かび上がってきているような気がします。

 

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