熱中症 第三回 「身体への影響・障害」
2018/07/25
こんにちは。
大阪は、心斎橋、四ツ橋、堀江にあるパーソナルトレーニング・コンディショニングトレーニングジム、Awakes (アウェイクス)の高嶋です。
今回は熱中症の第三回、「熱中症による身体への影響、障害」についてお話ししたいと思います。
「熱中症は危ない」と言っても、どう危ないのか、
熱中症によって引き起こされる様々な身体への障害はあまり認知されていないのではないでしょうか。
前回にお話した、熱中症の症状も、身体が正常に機能していないと考えれば、
障害になりえます。
頭痛、めまい、吐き気、倦怠感、疲労感、筋肉痛、筋けいれん、
過呼吸、集中力の低下、判断力の低下、意識損失など。
一定の不快な身体の反応は、それだけで普段の生活に支障をきたす障害と言えます。
これらの症状は、適切な処置を素早く行えば、
数時間から数日で回復する症状で比較的短期の障害です。
しかし、熱中症によって起こるこれらの身体の異常反応は、
適切な処置をしなければ、重篤な障害に繋がります。
重篤な障害とは、
脳・神経系
脳機能障害
中枢神経障害
臓器系
肝機能障害
腎機能障害
心筋障害
肺障害
循環器機能障害
血液凝固異常
筋骨格系
横紋筋融解→肝機能障害を引き起こす
何とか障害と言うと、少し専門的で難しいですが、
主な原因をまとめると、
深部体温が上昇することにより、血液の流れが異常になり、
脳への血流の低下により、中枢神経障害が起こり、
脳からの様々な指令が異常をきたし、
人間が生きていく上で大切な脳そのものや、臓器が正しく機能しなくなるということです。
これらの身体の反応は、
深部体温が異常に上昇することで起こり、
たくさんの機能障害を引き起こすことになります。
多くの重篤な障害や死亡にいたるケースでは、
多臓器不全や循環器障害が要因であることがわかっています。
また、死亡に至らなかったケースでも、重度の熱中症では後遺症が残る場合があります。
主な後遺症は、脳・中枢神経障害が多い事が報告されています。
例としては、高次脳機能障害と呼ばれる、以下の障害が後遺症として確認されています。
記憶障害
言語障害
注意障害(ボーっとする、集中できない)
認知障害(情緒、自制心)
遂行機能障害(物事を実行できない)
など
人間にとって、体温というのはとても大事です。
風邪をひいた時、37℃を越えると、いろいろな不快な症状が出るように、
平熱とされる36.5℃から0.5℃上がるだけで、
身体にたくさんの支障をきたします。
それくらい、体温は人間にとって繊細なものなのです。
この様に、「熱」を安易に考え、対策や処置の判断を間違うと、
あっという間に重大な熱中症になりかねません。
(画像:近隣、堀江のSUNTORY自動販売機より)
熱中症は防げる病気です。
夏祭りの季節、
人込みで夜も暑い環境にいる事が多くなりますが、
しっかり、熱中症対策・予防をし、この暑さを元気に乗り切りましょう。
次回は、「スポーツ現場でできる対策と予防」についてお伝えします。
参考文献:
- 日本救急医学会:熱中症診療ガイドライン2015
- Douglas J. Casa et.al. (2015) National Athletic Trainers’ Association Position Statement: Exertional Heat Illnesses. Journal of Athletic Training: September 2015, Vol.50, No.9, pp986-1000
- Heat Illnesses. Korey Stringer Institure. https://ksi.uconn.edu/emergency-conditions/heat-illnesses/#
- 高次脳機能障害情報・支援センター:高次脳機能障害を理解する:http://www.rehab.go.jp/brain_fukyu/rikai/
- 日本救急医学会:日本救急医会誌.熱中症の実態調査-日本救急医学会 Heatstroke STUDY2012 最終報告書-. 2014;25:846-62
- Yasufumi Miyake. Pathophysiology of Heat Illness. JMAJ. 2013. 56(3): 167-173